来週はすぐにエヴァーグリーンインフォテクノロジーに常駐する必要があると知り、土曜の閣下との会議は延期して頂いて会社で引き継ぎの準備にあけくれた。


日曜日に子供向けプログラミング講座のボランティア講師に行くと、いつもと違って子供たちが遠巻きに私を見ている。


「ねーちゃん、誰?新入り?」


「カケル少年、私です。顔なしねーちゃんでお馴染みの田中です。『新入り』という聞き方はいかがなものでしょうか。」


「げっ……マジかよ。ほんとに顔なしねーちゃんか!?」


「髪を切った以外は全く変わっておりません。」


「いや嘘だろ?ねーちゃんサイボーグだったの?それとも整形?」


「あいにく生身の人間です。整形してはいませんが、あまりそういうことを聞くものではありませんよ。

それより、先週からの進化を見せてください。私はこれから仕事が忙しくて来れなくなるかも知れないので、早く対戦しましょう。」


「はぁ?ふざけんなよ、それじゃつまんねーじゃん。」


ぶつぶつと文句をいうカケル少年をなだめて、いつも通りロボット相撲の対戦をする。結果的にはやはり私が圧勝し、さらに文句を言われることになってしまった。


「パンチ操作の制御を見直してみましょうか。条件分岐の文節を追加するだけでも変わりますから。」


「ちっ。わかってるよそんなん。

仕事忙しくなるって、転職でもすんの?」


「いえ、しばらくの間は勤め先とは別の大きな会社に通うことになったんですよ。」


「へー。それで髪切ったんだ。今までみたいにクソだせーカッコするわけにいかないもんね。」


「え!?そうなんですか?」


「ったりめーだろ!大企業のOLなんてモデルみてーな格好した女しかいないって、合コンに行った兄ちゃんが言ってたぞ。

オトナなのにそんなことも知らないの?」