秘密の会議は土曜日に
鴻上くんに聞いた話によると、閣下はエヴァーグリーンにヘッドハンティングされてすぐに、やりたい放題だった当時の事業部長の不正を白日の元に曝して更迭したらしい。


その結果、次長から事業部長に昇進したそうだ。上司すら容赦なくやり玉に上げることから血濡れの反逆者と呼ばれ、その後は誰も叶わない実力から皇帝と呼ばれるようになった。

さらに不正をした社員への処罰がかなりエグいことから鬼畜と言われているということも……。


「でもプライベートは誰も知らなくてすげー謎なの。

いろんな意味で注目を集める人だから噂は絶えないんだけど。社長婦人の若いツバメとして飼われて社長を裏から操ってるんだろー、とか。」


「ええええ!?」


「ま、さすがにそれは無いと思うけどさ。

俺も一緒に仕事するのは今回が初めてだから、せいぜい皇帝さんの素顔でも覗いてみようかな。

ちなみにあの人とオチカヅキになりたい女子はみんな玉砕するらしいから、お前も間違っても惚れたりすんなよ。」


「……そんな畏れ多いこと思わないよ。」


閣下の隣を歩く女の人は、綺麗で、華奢なハイヒールが似合うような大人の女性に決まってる。


「あ、でも最新の噂だとあり得ねーくらい変な女に手を出したらしいって。

おかしな女がエントランスに押し掛けてたとかなんとか……本当のトコロはどうなんだろね。」


「……そうなんだ。」


変な女の人。どんな個性的な人なんだろう。想像すると何故か胸がムカムカと苦しくなってくる。


「わーっ、お前そんな一気にケーキ食うなよ、ガキかよ。後で気持ち悪くなるぞ!」


「むぐっ。おいしいから良いのっ。ごふっ」
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