キライ、じゃないよ。
協力者?

mamori.2





『護、今休憩時間?』


スマホの向こうから、香の声が掠れる位の賑やかな騒音が聞こえる。


「うん……ていうか、香今日は休み?バックがえらく賑やかだけど?」


休憩時間に香からの着信に気づいて折り返したのだが、タイミング悪かったかな?

職場ではないのはこの賑やかな音が漏れてくるだけで分かる。彼女の職場は図書館で、こんな騒音とは無縁の場所なのだから。


『……ちょっと待って。あ、と、うん大丈夫。ごめんねぇ』


騒音溢れる場所から離れたのだろう。ようやく彼女の声がハッキリと聞こえてくる。


「なに、どこにいるの?」

『パチンコ屋だよ』

「へ?なんでそんなところに。香、頭痛が起こるから絶対行かないって言ってたじゃない」


片頭痛持ちの香は、眩しい光とか、騒音とかそういう場所にいると必ず頭痛が起こると話していたのを聞いたことがあった。


『うちの図書が忘れられてるって連絡があって取りに来たのよ。利用客が忘れて行ったみたいね。まいっちゃうよ』

「それは災難だったね。電話くれたのってもしかして……」

『ごめん、護が休みだったら付き合ってもらおうと思って……途中で具合悪くなりそうだったから』

「そうなの?でも今そこにいるってことは……1人で?大丈夫?」


待ちきれずに1人で向かったのだろうか?心配する私に、香はヘヘッとなんだか嬉しそうな声だ。



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