明日死ぬ僕と100年後の君
「長生きなんてするもんじゃない」

◇疑似的救済




縁側の向こう、緑の生い茂る狭い庭に朝陽が差し込んでいる。

もはや小さなジャングルになりつつあるそこに、雀が数羽舞い降りてきた。

風景として溶け込んでいる、使われなくなって長い物干しに雀たちがとまり、チチチと囀り合う。


朝露の光と、雀たちの鳴き声に穏やかな気持ちになった時、突然静寂を引き裂くような音が響いてきた。

コップか何か、ガラスの割れる音のあと、聞こえてきたいつもの怒鳴り合う声。


介護ベッドのある薄暗い部屋で、ひとりため息をついた。

ベッドの上で眠るひいばあの耳を、そっと塞ぐ。


醜い雑音が、ひいばあの耳に入らないように。



「もういい加減にして! うんざりなのよ、毎日毎日文句ばっかり! わたしは働いてるの! 疲れてるの! 介護する余裕なんてあるわけないでしょ!?」

「働いてたら、家のこと何もしなくていいとでも思ってんのかい! そんなわけないだろ! 介護どころか掃除も家事も一切やらない! あたしがいるから、全部やってもらえると思って甘えてるんじゃないか!」

< 154 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop