透明な恋《短》

+混ざる色





恋は一体何色なのだろうか。淡いピンク??濃い赤??灰色??深い青??黄色??



人それぞれ、その恋によって色は変動する。



『あれ??』



今の私の様に……。



いつもの様に放課後図書室に居た。読む本を探しに雑誌コーナーを徘徊しているとき、ふと図書室の窓から下校している生徒に目がいった。



下校している生徒たちの仲で、見覚えのある後姿を見つけたのだ。



あれって、夜木君??



見知った彼の横では、腕を絡ませ綺麗な髪の女の子が楽しそうに話していた。



悔しくはない、悲しくもない、はず……。最初から分かってたから、彼に見合う子かそうじゃないかくらい。



分かりはしていたけど、叩きつけられた現実は思いのほか胸に深く突き刺さった。



『馬鹿』



……あぁ、これが恋なのか。



どのタイミングで気づいてるんだと、自分に呆れた。本当に、本当に、馬鹿ね。


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