エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
お見合いの時に意外と家族思いで心優しい人なのかもしれない、なんて見直したのはやはり間違いだ。でも仕方ない。契約結婚とはこういうものだろう。

どうやって波風立てずに平和な同居生活を送ろうかと考えながら、私は荷物の整理をすすめた。



キリのいいところまで……と整理していると思った以上に時間がかかってしまったらしく、時計を見ると昼の一時を回っていた。リビングに来るように言われていたことを思い出し、廊下に足を進める。

「遅かったな」

「すみません。つい片付けに熱中してしまって……」

「そうか。ところで腹は空いているか?」

「あー、えっとまだそんなには……」

「そうか。ならば、もう少し時間を置いてからコンシェルジュに頼む事にしよう。ひとまずそこに座ってくれ」

私は東條さんに促されホワイトレザーが目を引くダイニングチェアーへと腰を下ろした。

ご飯を食べようと待っていてくれたことを知り、少し驚いた。もしかすると、私が荷物を見られることを気にすると思って早く部屋から出ていったのかもしれない。
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