センパイの嘘つき
嘘つき




別れよう。


たったの一言が、わたしの頭を回る。


揺さぶられる。ふとした瞬間に、涙が出そうになる。


分からない。先輩が、わからない。


黒板を指差しながら何かを言う教師。


機械的に書かれたことをノートに写す生徒。


その光景が目に入っているのに、意識はどこか遠くに行っているようで。


______大切にする。


そう真剣な顔で言った先輩は、嘘だったの?


やっぱり先輩は噂通り遊び人で、わたしを助けてくれたのも、気まぐれだったのかな。

< 140 / 181 >

この作品をシェア

pagetop