ボーっとする私に気づいたのか、たまちゃんが突然ピョンっと縁側から庭に下りて私の前にやってくる。

思わず目を瞬いた私を見て、たまちゃんは真っ白な頬をグインと上に持ち上げて私の手を取った。


「ねぇ、今度4人で夜ご飯でも食べようよ!」

「うん、いいね。楽しそう」

「私、おかず沢山持ってくるからさ! あ、お泊りしてもいい?」

「ふふ。部屋は沢山あるから好きな部屋使っていいよ」

「やった~! 約束ね! あ~、それにしてもかっこよかったな、鍛冶君。ねぇ、またパン届けに来ていい?」


どんよりした気持ちになった私を励ますようにニッコリ笑ったたまちゃんは、私の顔を覗き込んでそう言う。

その眩しいほどの笑顔に、落ち込んでいた気持ちが上向きになる。


そうだよ、悩んでいても仕方ない。

いつか話してくれると信じて、待とう。

それに、あの人は『友達』ではなく『下宿人』なんだ。

いくら年が近いからって、そんなプライベートに突っ込んで話すのは、ちょっと違うよね。

そこはちゃんと線引きしなきゃ。

そう思うと、悩んでいた心がスッと軽くなった。


「いつでも来て!」

「やったぁ~」


頬をピンクに染めて飛び跳ねるたまちゃんを見て、私の頬も自然と持ち上がった。

そして、散っていく桜を見ながら2人で時間も忘れて話し込んだ。