守りたい人【完】(番外編完)

「嘘でしょぉ」


あまりの天気の変わりように、驚く。

山の天気は変わりやすいとは知っているが、ここまで変わった事は初めてだ。

お風呂上りみたいになった前髪をかき分けて、急いで籠を抱えて走り出す。

その間も雷と雨は止む事はなく、まるで私を追い立てるように鳴り響く。

そして。


ピカッ。

ドーンッ!!


「きゃぁぁぁっ!」


一瞬、真っ暗だった世界が昼間のように明るくなったかと思った瞬間、鼓膜が破れるんじゃないかって程の轟音が鳴り響き、バリバリっという音と共に近くにあった木が勢いよく割れた。

雷が落ちたんだ。


あまりの衝撃に腰を抜かして、ベシャリとその場にお尻から倒れこむ。

それでも雷は止む事はなく、辺りは瞬く間に夜のように暗くなってきた。


――怖い。


震えるような恐怖が湧き起こり、弾けるように立ち上がって駆けだした。

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