守りたい人【完】(番外編完)

避難

夢を見た。

とても幸せな夢。


見渡す限りの花畑に、1人佇んでいる。

だけど、不意に名前を呼ばれて振り返れば、そこには優しく微笑む朝比奈さんがいた。

嬉しくなって駆けよれば、転ぶぞ。と言って、頭を撫でてくれた。


そして、差し出される大きな手。

その手を握れば、同じだけの強さで握り返してくれた。


2人並んで、色とりどりの花を眺めながら歩く。

いつもよりお喋りな私の言葉に、朝比奈さんは楽しそうに頷いて笑ってくれる。


どこまでも、どこまでも、暖かな夢。

幸せで、幸せで、仕方のない夢。


「朝比奈さん、見て!」


虹のかかった空を指して、2人空を見上げる。

風に乗って、朝比奈さんの香りがして胸が締め付けられた。

そっと体を隣に寄せれば、肩を引き寄せられその胸に溺れる。

優しく髪を撫でてくれる仕草が幸せで、そっと目を閉じた。

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