守りたい人【完】(番外編完)
社内恋愛は別れた時が辛いって聞くけど、本当だった。

みんなに付き合っていた事は知られていたから、別れた事も一気に広まった。


ヒソヒソと、噂する声が聞こえる。

もちろん、相談に乗ってくれる同期もいた。

慰めてくれる友達もいた。

それでも負った傷はでかくて、やりがいを感じていた仕事にも行きたくなくなった。


部屋に引きこもる事が多くなって、人と関わる事が嫌になった。

会社で彼や後輩の顔を見る度に、例えようのない怒りが襲った。


――…もう、限界だった。


私は4年務めた会社を、あっさり辞めた。

引き留める人もいたけど、それでも、もう無理だと思った。


恋も、仕事も、もう疲れた。

なんだかもう、何もかもに疲れてしまった。

どこか静かな場所に行きたかった。

誰も私の事を知らない、そんな場所に――。

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