守りたい人【完】(番外編完)
その冷たい瞳が、グチャグチャになった心をかき乱す。
何を考えているか分からない表情が、心を不安にする。
「返してよっ」
「あんた、飲みすぎだ」
「いいじゃない! 今日くらい飲ませてよ!」
そう言って、冷蔵庫にビールを取りに行こうと思って勢いよく立ち上がった瞬間、クラリと世界が回る。
え? と思った瞬間、世界が一瞬にしてグルグルと回転しだした。
そして、訳の分からないままバランスを崩して、制御のきかない体はそのまま頭から倒れこんだ。
それでも――。
「言っただろ。飲みすぎだって」
溜息と共に耳元で聞こえたのは、少し擦れたような声。
無意識に閉じていた目をゆっくり開けると、目の前には息を飲むほど精悍な顔の朝比奈さんがいた。
倒れそうになった私を抱えて、どうやら一緒に地面に倒れたらしい。
鍛えられた腕にスッポリと守られて、どこも痛くなかった。
「ってか、誤るとかできないわけ」
抱え込まれたまま朝比奈さんの上に跨って何も言わない私に、酷く呆れたように溜息を吐かれた。
何を考えているか分からない表情が、心を不安にする。
「返してよっ」
「あんた、飲みすぎだ」
「いいじゃない! 今日くらい飲ませてよ!」
そう言って、冷蔵庫にビールを取りに行こうと思って勢いよく立ち上がった瞬間、クラリと世界が回る。
え? と思った瞬間、世界が一瞬にしてグルグルと回転しだした。
そして、訳の分からないままバランスを崩して、制御のきかない体はそのまま頭から倒れこんだ。
それでも――。
「言っただろ。飲みすぎだって」
溜息と共に耳元で聞こえたのは、少し擦れたような声。
無意識に閉じていた目をゆっくり開けると、目の前には息を飲むほど精悍な顔の朝比奈さんがいた。
倒れそうになった私を抱えて、どうやら一緒に地面に倒れたらしい。
鍛えられた腕にスッポリと守られて、どこも痛くなかった。
「ってか、誤るとかできないわけ」
抱え込まれたまま朝比奈さんの上に跨って何も言わない私に、酷く呆れたように溜息を吐かれた。