謎の郵便物が送られてきて2週間が経とうとしていた。

都心の夜景を見下ろすシックなフレンチレストランの半個室に私は千裕さんと向かい合って座っている。

運ばれてきた冷菜は、コンソメのジュレにフレンチキャビアが品よく散りばめられている。

千裕さんは一口だけワインを口に含んだ後、見惚れてしまうほどに美しい所作で目の前の冷菜を食べ始めた。


「千裕さん、最近お仕事はやっぱり忙しいんでしょ?」

私の探るような眼差しと言葉は、勘の良い千裕さんのことだからきっと何を言いたいのか気が付いたのだろう。


「いや、今は少しゆっくり出来る時期なんだ」

一瞬、動いていたはずのナイフが止まったように見えたのは絶対に気のせいではないと思うのだけど、千裕さんは表情一つ変えずに平然とそう答える。