「……ただいま。」

「ちょっとそこに座りなさい。」



優雨はいつも帰りが遅い。それが巡回の日だろうが変わらず、さすが西園寺グループの一番上に立つこの人は多忙を極めている。


私はというときちんと定時。はい、ありがとうございます。


そして”副業”の家事もある程度適当にこなさせていただけております。いやー楽々。優雨は家に帰らないし、会食とか色々あってご飯もあまり作らなくていい。


コンシェルジュ付きの高級マンションで、翌日の弁当と同じ内容の夕食を食らう。なんて最高なんでしょ。これでお給料も貰えて借金が返せるわけだから、それだけでもこの結婚には意味があったのかもしれない。


だけどね?結婚ってそういうもの?私が言うのもなんだけど、結婚というものはお互いを尊重して、心と心でぶつかり、相手を思いやるものだと思うの。


だからこそ、ネクタイを緩めながら素直にソファーに座ったいけ好かない笑顔のイケメンにも、私は騙されずに言う。



「今日、企んでましたよね?」

「それはそうでしょ。」


長い脚を組んでクスリと笑い声を漏らした男は、いけしゃあしゃあと答える。


「それに、バラしたのは美織。分かる?」

「……。」

美しい笑顔を前にして、何も言えない。そういえばそうだ。うっかり分かるような行動をしてしまったのは、私だった。


「でも、バレなくする方法もありましたよね?」


頬杖をついて何も言わない優雨。だってそうでしょ?クッキーの食べ方にしたっていつも通りにしてたらなんて残念な社長だって思われるに違いない。


社長としてクッキーを食べるって変な話だけど、優雨が社長をしている時は、そういうことは細心の注意を払って過ごすはずだ。


お茶の好みは私が悪かったよ。



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