「あの中に美織を狙う輩がいないとは限らないだろう?芽は潰しておくものだと、山田が言っていたよ。」


「……また山田か。」


あの無表情男が考えた牽制法は見事ハマったみたいですけどね?効きすぎなんだよ!


「優秀だろう?」

「優秀過ぎて明日から仕事がやりにくいですけどね!」


きっとさえちゃんは変わらないだろう。そう言う子だもん。だけど周りは?さすがにそれを求めるのは酷というもの。


同僚に社長夫人がいたら、気を使わない人なんてさえちゃん以外にいないと思う。現に所長は私の目を見て話せなくなってるし。気にしてない風を装っている感じが余計に私をいたたまれなくさせる。



「はぁ。もういいや。」

「お、説教は終わりか?」


ソファーに堂々と背を預けて、余裕の表情で頬杖をついている人をこれ以上怒ったところで、堪えるはずもなく。


「いいです。もうやっちまったものはしょうがないし。」


結局ここは私が引くしかない。それに、今日の優雨はなんだか疲れているように見える。仕事で疲れているのにこれ以上責めるのも悪い気がした。


時刻は午前2時。明日も仕事だし、お互いもう寝ないと。


「美織は優しいなぁ。」

「……。」


全然反省している様子のないこの人を見るのもうんざりという理由が大半だけど。


「ふ、」

思わず笑みが漏れた。優雨は不思議そうに首を傾げていて。


「なんか、呆れすぎて逆に笑っちゃいました。」


気付けばそう言っていた。変わった人だ。私がこの人の奥さんだってバラすことに、何のメリットもないというのに。


『周りに自慢したくてしょうがないようですよ。』


山田さんがそう言っていたのを思い出した。自慢してなんになるのか理解できないけど、もし今日の行動がそのせいだとしたら、嬉しくないわけない。


「もう寝ます。おやすみなさい。」

「……おやすみ。」


そしてこうして、笑顔で挨拶ができる人がいるって、なんて温かいんだろう。





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