最初に感じたのは、規則的にリズムを刻む機械の音だった。

続いて閉じた瞼から透ける、明るい光。つんと鼻を突く薬品のような臭い。

ゆっくりゆっくり、美波は瞳を開けた。


「これ……私……?」


目の前のベッドに横たわる人物。それは、紛れもない美波自身だった。


「私……死んだの……?」


一瞬そう思ったが、繋がれた機械は生体のバイタルサインを規則的なリズムで奏でている。


(夢……見てるのかな……)


訳が分からず、美波はただ目の前の自分を見つめ続けていた。


「ん……」


横たわる美波から、小さな吐息が漏れた。

睫毛が震え、ゆっくりと瞼が開く。


「ここは……」


起きたばかりの美波が呟く。


「安西さん! 分かりますか!?」


モニターの不自然な動きに気付いた看護師が、病室に駆け込んできた。美波に何か声をかけ、再び慌てて病室から飛び出していく。

それと入れ違いに、ある人物がやはり忙しなく駆け込んでくる。


「美波!! 大丈夫っ!?」


佐伯愛佳だった。

愛佳は小走りにベッドに駆け寄りーーー……。


「えっ……」


目が、合った。


「何でーーー……」



そう呟いたのは、誰だったのだろうか。







ベッドに横たわる美波の口角が、挑発的に弧を描いた。

















END

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