素直になれない
嫌悪

「……解せない」


思わず零れた呟きを拾った相手は眉をひそめて私を見た。


「……確かにね」


貴重な休憩時間、向かい合って座った真柴と私。

話題はここ数日の私の不機嫌と困惑の理由。


「気のせいじゃないよね?明らかに私の事嫌ってるよね?」


お弁当の卵焼きに何度目かになる箸が刺さった穴を見つめながら、私は溜息をついた。


「気のせいじゃないと答えてあげるから、その卵焼きいい加減口に運びなよ。なんだか可哀想になってきたし」


真柴の視線の先にある私の卵焼きの無残な姿に、言われるままそれを口におさめた。


うん。今日も美味い。


自分で作ったお弁当を美味いと思いつつ食べるのもなんだか微妙だけど、この卵焼きだけは絶品だと自負できる。


冷めてもふわふわで美味しいんだから。


母直伝、砂川家の卵焼きは、甘めの味付けで柔らかい。
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