輪廻ノ空-新選組異聞-

沖田総司

痛い。

起き上がりたくない。

ハズカシイ…

さっきの大学生、思いっきり見てたよね…。

えーと…
顔は打ってない。
受け身は…不本意だけど得意だし…。
古武道のせいで…!

階に倒れ込んだまま、心の中でブツブツ。

「もうし…」

もーし?
掛けられた声は…さっきの大学生だよね?
放っておいて…!

「死んでるんちゃうやろか…?」

こどもの声まで。

人だかり…!?

「大丈夫ですか?
 聞こえてますか?
 触りますよ?」

「生きてますっ!!」

慌てて起き上がって、背後を振り返った。




固まる。



…って、本当になることあるんだ?

目は見えてる。

でも思考が追いつかないから、反応出来ないって言う。


「どこも痛めていませんか?」

困ったような顔をした目の前の人。
どこかで見たことあるんだよ、そのヘアスタイル。
頭のてっぺんだけハゲ。

サカヤキ…。

「……サカヤキだ」
「えっ。月代がどうしました?変ですか?おかしいな、毎日剃っているのですが」
「沖田はん、この浪人はん、変やで。壬生浪士隊に入れんほうがええで?」

ミブロウシタイ?

そう言えば、沖田はん…って…。

「……沖田総司?」

え?と、目の前のサカヤキの人は首を傾いでから頷いた。

「はい。私は沖田総司、ですが」
< 3 / 297 >

この作品をシェア

pagetop