BIRD KISSーアトラクティブなパイロットと運命の恋ー
7.テイルウインド
約一週間が経った。祥真が一日を終え、UAL社から出ようとしたときに声をかけられる。

「お疲れ様です。隼さん……で、お間違いありませんか?」
「そうですが」

 見覚えのない女性に心の中で首を傾げる。

 自分よりも明らかに年上。ベージュのスーツが清潔な印象を与えるその女性は、柔らかな物腰で名刺を出す。

「わたくし、こちらへEAPとして赴任しております大和の上司の花田と申します」

 月穂の上司と聞き、自然と背筋を伸ばす。名刺を丁重に受け取って、軽く会釈をした。

「そうでしたか。お疲れ様です。こんな時間までお仕事されるんですね」

 祥真の今日の最後のフライトは、東京に二十時着のものだ。
 なんだかんだと仕事をして、今は二十一時半になるところ。

 祥真に驚かれた花田は、ニコッと口角を上げる。

「今日は病院での勤務の後に出向いたもので……。と、それもありますが、本当はこの時間に隼さんが戻られると事前にお聞きしていたからです」

 花田の終始崩さぬ笑顔を凝視する。

 これは、偶然ではなく故意に出会ったものだとわかると慎重になる。
 僅かに眉を顰め、訝し気に尋ねた。
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