わたしはあなたにときめいてます

「はい!
是非!!」


わたしは人に感情を見せる事が出来ない。

喜び。

怒り。

哀しみ。

楽しさ。

全部の感情を。

持っているのに…いつの間にか見せたくても見せる事が出来なくなったのだ。

『お母さん!!』

『何、笑ってるの?
お母さんを馬鹿にしてるの?』

『うっ…。ううう……』

『泣くな!!!
私をイライラさせないで』

『はい……』

3才の時に自ら感情を見せないようにしたから。


『香澄ちゃん、大好き』

『わたしもルミちゃん、大好き』



『ねぇ、ルミちゃんって上野さんとよく一緒にいるけど、友達なの?』

『友達?
違うよ』

『じゃあ、何で一緒にいるの?』

『それは、頼んだら宿題やってくれるし。
物借りて返さなくても怒らないから、自分の物に出来るんだよね』

『だから、一緒に居るんだ』

『うん。そうじゃなきゃ一緒に居るわけないじゃん。
あんな感情が無い子』

友達からも。

『香澄、愛してる』

『わたしもママを愛してるよ』



『香澄ちゃんってずっと無表情なのね』

『怖いわよね』

『それは…』

『正直に言って良いわよ。
私もそう思っているもの』

母からも。


わたしは好かれなくなってしまった。
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