ひょっとして…から始まる恋は
今を知る。だけど……
藤田君のことをラインで聞いたのは、それから三日後のことだった。

里帰り出産で自宅に戻った高校時代の親友が、街で彼に会ったよ、と言ってきた。


『何と彼女とデート中で!』


いきなり突き付けられた現実にズキッと胸の奥が痛む。


『そう』


バクバクと鳴りだす心臓に落ち着け…と思いながら短く返事を送ると、親友の神田天音(かんだあまね)は目を丸くしたスタンプを貼り付けてきた。


『すっごい美人でさ。背も高くてモデルみたいな人だった』


お似合いだった…と感想を述べる彼女に、へぇーとまたしても短い返事。


『その時に藤田君が言ってたよ。今ユズが同じ科内の医局にいるって』


いつ転職したの?と聞かれ、四月…と短い二文字を送る。


『叔父が大学病院の教授をしていて、秘書をしないかと誘われたの』


流石にいつまでも短いと駄目か…と思い、そう言葉を付け足した。


『そうなんだ。偶然ね』


『うん、最初はビックリした』


今もだけど…と頭の中で考え、近いうちに会おうね…と送ってラインを終えた。

< 41 / 190 >

この作品をシェア

pagetop