ひょっとして…から始まる恋は
切ない日々の始まりと終わり
翌日、秘書室に着くと頭を抱え込んで座る松下さんの姿があった。
三波さんは呆れ顔で、二日酔いらしいわと言い、私を振り返ると、大丈夫?と聞いた。


「私は全く酔えなかったので」


眉尻を下げて微笑み返すと、三波さんはそう…と小さく呟く。

だけど、私が無理して笑っているのが分かるみたいで、何も言わずにポン…と肩に手を乗せた。



「仕事、始めようか」


筆頭秘書らしく言葉尻を上げ、美穂もよ、と厳しく言っている。

冷えピタを額に貼り付けた松下さんは、はいはい…と二度返事をして、パソコンのキー操作を開始した。


何も変わらない日々のようだが、やっぱり気持ちが重いと捗らない。
こんな日には彼に会いたくないと思うのに、やはりそういう訳にもいかなくて__。



お昼に食堂で彼と出会い、ヒクッと頬の肉が突っ張る。
松下さんはこれまでとは態度を変え、彼に縋ることもなく、こんにちは…と普通に挨拶をした。



「どうもお疲れ様です」


招待状が引導の様になり、ホッとした感じの藤田君。
だけど、私のことを見ると困った顔つきに変わり、声もかけれずにいるみたいだった。


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