【完】ファーストキス、投げ出して。
前編
修学旅行。
センパイに振られて約一か月。
エンジョイ気分っ!になんてなれなくて。
ひとりで自由時間を過ごしている。


センパイからしつこく聞き出したルートを一人なぞっていく。
……むなしい。
っていうか、痛い、私。


有名どころのお寺にいざ足を踏み入れよう。
そう思った時、足がすくんだ。


……むり。
もう、ムリムリムリムリ!!


気が付けば必死になって走って。
髪が乱れるのも忘れて。
センパイとの思い出をただ甦らせて。
ただただ走った。


迷子になったことに気づいたときにはもう遅くて。
体力も、心も、何もかも限界だった。


涙で歪んだ視界の先に見えたのは。
旅行マップにも載っていない寂れた神社だった。


無心で中に入ると案外綺麗で。
境内にある木製のベンチに腰かけた。
木陰が心地よくて。
空気が澄んでいて。


世界で私ひとりになったみたい。


そのまま仰向けに寝転がって。
葉っぱの隙間から入り込む光場眩しくて。
目を覆うように腕をかぶせた。



< 1 / 15 >

この作品をシェア

pagetop