大切なものを選ぶこと

祭りは波乱が付き物





-美紅side-





あれから数日、今日は待ちに待ったお祭りの日で、朝からウキウキしながら講義を受けていた。




1年生の時の後期の単位が足りていないおかげで土曜に講義があるのは残念だけど、必修のせいでいつもの三人も土曜に講義があるからまぁいい。






「美紅!正門にヤバい人がいる!!」





本日最後の講義を加奈と受け、教室を出ると、慌てた様子の由美子と真希。




ヤバい人…?



確か今日は、私の浴衣を楓さんに頼んであるって弘翔に言われていて、着付けや髪のセットを楓さんの家でやってもらうことになっている。




私の髪のセットの為だけに何故か遥輝さんも来るらしく、申し訳ない事この上ない…。





弘翔とは久しぶりに待ち合わせをしようってことになっている。




楓さんが大学まで迎えに来てくれることになっているんだけど…ヤバい人って楓さんの事じゃないよね…?確かにあの美貌はヤバいけど…。






「ヤバい人って…女の人??」





「ちがうちがう!おっそろしいくらい顔の整った、おっそろしい雰囲気の男!」





「超イケメンなのにめっちゃ近寄りがたいオーラ放出してて、人でも殺すんじゃないかって表情で正門にいるのよ!」





「190㎝以上あって、和服で…なんか本当にヤバい感じの人だった…」





「なにあれ怖すぎ!めっちゃイケメンなのに怖すぎ!」





うん、真希と由美子が口々に捲し立てるから半分くらいは何を言ってるのかわからなかった。




だけど、二人の話から思い当たる人物が一人…。




でも待って、楓さんが迎えに来てくれるって言ってたのになんで?






「多分…知ってる人だと思うんだけど…」





「「はぁ!?」」





私の言葉に二人の驚いた声が重なった。






「美紅!知り合いならあの人なんとかして!雰囲気怖すぎて帰れない子たくさんいるし、イケメン過ぎてギャラリーたくさんで、正門がカオスなんだよね!」






真希の言葉を聞いて四人で急いで正門に向かう。





そりゃあ…日本で有数の極道の組長が普通の大学の前に立って待ってるなんてカオスすぎる。極道の事を知ってる人なんてほとんどいないだろうけど。







──慌てて正門に着くと、いつも弘翔が待っている所に想像通りの人が立っていた。




ただ立っているだけなので守衛さんも何もできず、その威圧感によって顔面蒼白になって立ち尽くしている。




度胸のある女の子たちは話しかけるタイミングを伺っているのか…遠目からコソコソと言っている。







「せ、聖弥さん??」





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