夜蝶
『ごめんね。ありがとう。』



『バイバイ。幸せになってな?』



『暁斗もいい人見つけて幸せになってね。』



私は暁斗とサヨナラをした。



一度は好きになった人だった。



『この間、彼氏と別れた』



私が寂しいと言えば電話してくれたり



会いたいと言えば遠くてもバイト終わりの少しの時間でも会いにきてくれたり。



『名探偵の映画見たい!!連れてって!!』


『いいよ!行こう!俺も気になってたんだ!笑
今回の映画のやつ!』



急に映画みたいっていって遠くからわざわざ来てくれたんだっけな?



それから街中歩いて、色々ご馳走になったりしたんだよね。



『おれ、実は久玲愛が彼氏と別れてから心の中では喜んでた。
やっと彼氏いなくなったのかって。

これで俺が入れる隙間ができたって。』



そう言われてドキドキした事もあった。


でも、もうこれ以上は暁人を傷付けるだけ。


どこかで一線を引かないと同じ事を繰り返してしまう。

 

だから、私はサヨナラをした。
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