クールな部長は溺甘旦那様!?
第四章 芽生える嫉妬
営業部に戻ると、まだ社員が数人残っていたけれど、昼間の慌ただしいオフィスの雰囲気とは違い閑散としていて、ほとんど帰宅した後のようだった。窓のブラインドも下げられ、静かな空気が流れていた。

「さっそくだが、これとこれと、この契約内容のデータを今から渡すファイルに入力してまとめてくれ、終わったら書面に起こしていったん俺に見せてくれないか?」

「お安い御用で――」

うわ! なにこの膨大な量!!

デスクに着くなり剣持部長から渡された資料の多さに思わず言葉が止まる。

「なんだ?」

「い、いいえ! 頑張ります! 私、こういうの得意なんですよー!」

あはは、と乾いた笑いに剣持部長は怪訝な顔をして自分のデスクに戻っていった。

もしかして、これ全部ひとりでやろうとしてたのかな? 日付がかわっても……いや、朝になっても終わらない量だよね? よーし! 一気に終わらせちゃおう。
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