クールな部長は溺甘旦那様!?
「け、んもち……部長」

唇をついばまれ、口の端、頬に口づけがゆっくり移動してついには首筋に触れた。

「ち、ちょっと待って!」

ずしりと急に彼の体重を感じて口づけの陶酔から我に返る。

「あの、いくらなんでも……この先は――ん?」

耳元から聞こえてくる規則正しい呼吸。まさかと思い、組み敷かれた身体をずらして抜け出すと、彼の身体がゴロンと反転する。

「もしもーし、剣持部長?」

「……ん」

夢現の中でなんとか私の呼びかけに反応するものの、彼は完全に寝入っていた。

「まったく……」

よほど身体が疲れて限界だったのだろう。今日一日、私よりも気を張っていたかもしれない。一気に緊張がほぐれて、さすがの剣持部長も睡魔には勝てなかったのだ。長いまつげにキメの細かい肌、薄い唇。寝顔までもきちんと整った顔立ちをしていて、そっとその頬に触れてみる。
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