「正直に言いますね。本っ当に鬱陶しいです」

月曜日の朝礼後。

一人、また一人と営業マンが出ていき、人口密度が少なくなった営業6課の島で、瑠衣ちゃんは眉間にシワを刻んでそう吐き捨てた。

「なんなんですか?この甘ぁい感じの雰囲気は。今までこんなことなかったじゃないですか」

「確かに今日の6課は、色で表すなら無駄にピンクな感じよね」

うんうん、と頷きながら、紗月さんも瑠衣ちゃんの意見に同調し出す。

「最近、平嶋課長の雰囲気が柔らかくなったような気がするのは気のせいかしら?」

「あ!それ!私も思います!でも相変わらず、言い寄ってきてる女共にはメチャクチャ冷たいですよ」

「誰のせいかしらね」

二人揃って私を見るが、どんな顔をしていいのやらわからない。

確かに私の平嶋課長に対する視線は、以前と比べて格段に甘い視線だろう。

苦手だった人が、突然好きな人へと変貌したのだ。

ハートが飛び交うのは仕方の無いこと。

それに平嶋課長も、今までの無関心な視線から、恋人としての視線へと少しづつ変わってきたような気もする。

これは私達にとっては大きな大きな進歩と言えるだろう。

まあ、周りからすればはた迷惑なことなのかもしれないが。

でも、そんなの知ったことではない。

恋愛は、当事者がよければ周りはお構いなしだ。

相変わらず平嶋課長に言い寄っている女子社員も、ことごとくフラれている。

それを見たり聞いたりして優越感にひたってしまう自分が、腹黒くて嫌な女で。

でもやっぱりそれは一番嬉しい。

仕事中であろうとなんであろうと、思いっきり公私混同できる。

これこそ社内恋愛の醍醐味というものだ。