ただいま冷徹上司を調・教・中!
プロポーズしてくれた日から、凱莉さんはまた大きく変わった。

『抑えていた自分を解放したんだ』

凱莉さんはそう言っていたが、とにかく甘い。

スイーツよりも甘い。

とにかくいつだって私を溺愛してくれるし、さらに甘えてもくれる。

女の理想を集約した完全体になってしまったのだ。

もう、私が完全についていけなくなるほどに。

そんな凱莉さんが自慢してくれるなんて、正直言って堪らないほど嬉しいんだけれど。

「自慢してくれてありがとうございます。もっと凱莉さんが自慢したくなるようなイイ女になれるように努力します」

凱莉さんの背に腕を回してきつく抱きつくと、凱莉さんはさらに私を抱きしめて言った。

「ダメだ」

「え?」

「俺の為にイイ女になってくれるのは嬉しいけど、他の男に千尋を意識させたくない」

「……なに言ってるんですか」

ちょろっとイイ女になったからって、いまさら他の男性社員が私を意識するわけないじゃないか。

可笑しくなって凱莉さんの胸で吹き出すと、凱莉さんは私をグイっと引き離し、目線を合わせて私を見つめた。

「千尋は自分のことは何も分かってないんだな。千尋のことを見ている奴らは何人もいるんだぞ?」
「初耳……」

「鈍感すぎだ」

「でも凱莉さんだって自分のことをわかってないです。他の人が凱莉さんに適うはずがないじゃないですか。全世界探しても、凱莉さん以上に素敵な人なんて存在しません」

だからそんな嬉しいヤキモチは必要ないんだ。

凱莉さんの頬を両手で包んで微笑むと……。

「っ……」

凱莉さんはもう一度私を抱きしめて、啄むようにキスをした……。
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