凱莉さんからのプロポーズを受けてから三ヵ月経った。

私は自分のアパートの契約を解除して、先週から凱莉さんの住むマンションに引っ越してきていた。

今までもほぼほぼ自宅に帰してもらえずに、凱莉さんのマンションが自宅のように荷物が増えていったので、引っ越しとも言えないほど簡単な手荷物だけで済んだ。

私の家の家具よりも凱莉さんの家具の方が立派だし。

何よりも凱莉さんが私の使いこんだ家具を持ち込むのを嫌がった。

『確かにこの家のテイストには合わないかもしれないけど、そんなに嫌がらなくてもいいじゃないですか』

凱莉さんは私の不満に負けないくらいの不満顔で、私の頬をむにっと摘まんだ。

『俺は家に人を入れることを好まない。まして女を入れるなんてもってのほかだった。だからこの家の家具に他の女の指紋も影も一切ない』

あいたたた。

何を言い出すんだ、この人は。

『それに比べて千尋はどうだ?過去をどうこう言っても仕方がないことだし、変えられないのはわかっている。しかし昔の男と使った家具は引っ越した後でも必要なんだろうか?と思っただけだ』

『……ソウデスネ』

もんのすごく的確に痛いところを突いてくるな。

これが凱莉さんじゃなかったら、ドン引きしているところだ。

イケメンって、何でも許してもらえるんだから得だなあ、とつくづく実感してしまった瞬間だった。

凱莉さんは根っからのヤキモチ妬きだと、付き合い始めてから知った。

けれど言ってもどうしようもないことや、過去を否定するようなことは絶対にしない。

凱莉さんのヤキモチは、いつだって私への愛情をヒシヒシと感じさせてくれるもので、私はそれが嬉しくて心地よかった。

当然、私は大きな家具を全て処分して、凱莉さんのマンションへ来ることにしたのだった。