シンデレラのドレスに祈りを、願いを。
§大人への階段

☆french kiss

*―*―*

☆☆☆

悠季くんのキスに気を取られて、奪った煙草を床に落としてしまった。悠季くんから離れてそれを拾い上げる。彼の携帯灰皿に押し入れた。


「もう、そんなの嘘。ホントは何人いたの?」
「早百合さんだけだよ、僕は」
「怒らないから正直に言って。だってあのとき上手だったじゃない」
「あのときって?」
「だから……海のコテージで……」
「コテージで、なに? 僕のなにが上手だったの?」
「もうっ!」
「教えて。コテージだけじゃわからないよ。僕、なにかした?」


悠季くんはクスクスと笑うと、また私に口付ける。ほら、こういうキスをするところ。私はこんなキスを教えていない。


「まあ、早百合さんが失踪した直後は荒れたよ。どうして、どうして?、って。パティスリー四つ葉にも駆け込んだし、興信所も訪ねた。でも未成年だから相手にしてもらえなかった」
「探したの?」
「早百合さんは僕を甘く見てるよ。本当に本当に大好きだったんだから」
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