君の日々に、そっと触れたい。


「………く、李紅……!」



名前を呼ばれて、はっと我に返る。

慌てて重い頭を起こすと、心配そうな賢太郎の顔が目の前にあった。

「あ、あれ……寝てた?」

「爆睡だったぜ」

「やべ…」

4限目の英語の授業で、ALTの先生の発音が悠長すぎてウトウトしてたことは覚えていたが、まさか爆睡するとは。学校で居眠りなんて初めてかもしれない。

いつのまにか授業は終わって、昼休みのようだった。


「なんだよ、まだ具合悪ぃのか?」

「ううん、ちょっと……考え事。それより、何か用か?」

「何か用、ってお前……」

そう言って呆れたような顔をして、賢太郎は俺の目の前でひらひらと弁当箱を見せた。


「昼飯、一緒に食おうぜ」


そう当たり前のように言う賢太郎。
突然のことに、戸惑う。


「………いいのか?」


「お前が友達になれって言ったんだろーが。お前世間知らずだから知らないかもしれないけどな、友達ってのはそーゆうもんなんだ」


「…ふっ……なにそれ」



ぶっきらぼうな上に意味不明だけど、嬉しくて堪らなくて思わず笑ってしまった。


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