御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
3 遠距離な夫は愛を積もらせてやまない
彼の言う通り、とんとん拍子に鷹凪の総理大臣就任が決まってしまった。マスコミはお祭り騒ぎだ。

けれど、当の鷹凪は多忙ゆえ、ここ数日総理官邸に泊まり込んでいる。

奏と鷹凪は、用意された公邸へと移り住まず、官邸から程近い高級マンションで暮らすことを選んだ。

もちろん、奏のプライベートを優先した決断だったのだか、あっという間に自宅の場所はマスコミに割れてしまった。

今日も玄関前にはカメラを持った取材陣が押しかけ、新生ファーストレディが出てくるところを今か今かと待ちわびている。

この日、取材陣につけ回される奏が心配で、鷹凪は第一秘書の篠田を奏のもとへ送り込んだ。

本当は自分が行きたかったのだが、断腸の思いであきらめたのだと、あとになって聞かされた。

「本当に秘書官をつけなくても大丈夫ですか」

「はい、私には秘書なんていりません」

総理大臣夫人には夫人秘書というものをつけるのが慣例らしいのだが、奏はその申し出を断った。

政治に関与するつもりもないのに秘書官をつけるだなんて、税金の無駄遣いだ。

そもそも、ファーストレディが妻でなければ務まらないという制限はない。

ファーストレディとは、海外への視察や文化行事に参加するときに同伴する女性の総称で、近親の女性であれば娘でも、姉妹でも誰でも問題ないとされている。

奏を政治に巻き込むつもりのない鷹凪は、そんな役目背負わなくていいというのが婚約前からの言い分で。
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