御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
5 その愛のためにできること
***


小田桐とその妻・美影と連絡を取り合った数日後。

この日は特にこれといった予定もなく、いつも通りひとり家で在宅ワークを進めていた。

ふとインターフォンが鳴り、奏は立ち上がった。

モニターには、濃紺の作業着を着た見知らぬ中年男性が立っていた。

『受信料の回収です』

なんの疑いもなく奏はドアロックを解錠する。

玄関の扉を開き男と対面したところで、やっと違和感に気がついた。

気迫をみなぎらせた顔つきは、公共料金を徴収しにきたひとが浮かべるものではない。

「総理の奥様ですよね!? お話を伺いたいのですが」

男がテープレコーダー片手に詰め寄ってくる。

記者だと気づき慌てた奏は「ご、ごめんなさい!」急いで玄関のドアを閉めようとした。

しかし、男が咄嗟に靴をドアの隙間に滑り込ませ、それを阻止する。

「明日発売の記事について、お聞きしたいのですが」

「え!? あ、あの、なんのことだか」

「ダブル不倫とは本当のお話ですか!?」

「ふ、不倫!? それはどういう……」
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