副社長の一目惚れフィアンセ
「黒岩から聞いていると思うけど、婚約披露パーティーをしなきゃいけない。
そんなに盛大なものじゃないから、面倒なんだけど付き合ってほしい」

「はい」

結局、今回ものんびりデートというわけにはいかないようだ。

とりあえず、婚約パーティーで着るドレス選びをしておかなければならない。

水嶋家御用達だという高級店に連れていかれ、着せ替え人形のようにされるがままコーディネートはできあがった。

ピンクのシンプルなAラインドレスに、白いレースがところどころあしらわれている。

それに高そうなネックレスやイヤリングを合わせれば、一気に華やいだ印象になる。

宝石店はともかく、こういう場で白いライトで照らすのは卑怯だと思う。

肌艶がよく綺麗に見えて、自分が美人になったと錯覚してしまいそうになる。

「水嶋様、どうでしょうか?」

恥ずかしながらナオにお披露目すると、立ち上がったナオは腕を組んで微笑んだ。

「いいじゃないか。明里にはピンクがよく似合うな」

いとも簡単にドレスを含めた1セットは決まってしまった。

ちなみに値段は書いていない。

私が着替えている間にナオがカードで支払ったようだから、いくらかかっているのかわからないけど、とにかく高いのは確かだ。



< 56 / 204 >

この作品をシェア

pagetop