副社長の一目惚れフィアンセ
そのままとりとめのない話をして笑い合った。

ナオは私の家庭のことを聞かない。離婚もしているし、母のこともあるから、事情を察して気を遣ってくれているんだろう。

当然なのかもしれないけど、ここにいるときのナオは、副社長をしているときと少ししゃべり方が違う。

素の部分を私に見せてくれているんだと思うと、それだけで愛おしい。


いつの間にか時計の針は11時を指していた。

「おやすみ、明里」

まるで父親が幼い娘に語りかけるように、ナオの声はやわらかい。

「…おやすみなさい」

キスをしたあと、私たちは寄り添って眠りについた。


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