梅雨も明け、あっという間に7月も終わりに近づいてきた。

できれば一生来ないでほしかったこの日。

今日は不安の種だった婚約披露パーティーが開催されるのだ。

日が近くなるにつれて私の憂鬱はどんどん大きくなっていき、最後は胃がキリキリと痛んで胃薬を飲むほどだった。

もちろん、今日もばっちり胃薬は飲んできてある。

最近姿を見せないと思っていた黒岩さんは、これの準備に追われていたようだ。

少し疲れが見えるけど、黒岩さんはいつも通り紳士的だ。

この前瀬名と一緒にいた時に見た人は、やっぱり別人だな。


黒岩さんに案内され、あらかじめ選んであったドレスに身を包み、高級そうなヘアサロンでヘアメイクを済ませた。

…これは誰だろう。鏡を見て呆然とした。

女は化粧で化ける生き物だ。それはよく知っている。だけど、化けすぎじゃないか?

結婚詐欺になってしまう。

外で待っていたリムジンにはすでにナオが乗り込んでいて、私は黒岩さんのエスコートでナオの隣に座った。

ゆっくりと走り出すリムジン。

ナオはじーっと私を見つめ、恥ずかしい私は顔をそらす。

厚化粧のせいか、どうも顔に違和感があって余計に恥ずかしい。

「…こっち向いて」

少しずつ顔を向けたら、服装もフォーマルなナオはいつもと印象がまるで違ってドキッと胸が高鳴った。

きっとナオの目にも、私はそう映っているんだろう。

アップスタイルになっている髪にそっと触れ、

「きれいだよ」

と照れくさそうに微笑んだ。

そんな言葉に胸を撃ち抜かれて顔を火照らせながら、パーティー会場のあるライアンホテルへ向かった。


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