浮気してるくせに平然な彼
16.現実はそんなに甘くない





◆堀内翔side◆


 あれから冬休みが明け、三学期に突入した。


 遅刻ギリギリにも関わらず靴箱でゆっくり上履きに履き替えていると、暗い顔で登校してきた陸と目が合った。


 目が合ったからといって『陸も寝坊??』なんて声をかけるワケでもなく、教室に向かおうと足を踏み出した。


 ―――その時だった。


 陸から『堀内』と声をかけられ、足を止める。


「なんだよ」


 陸と話すのは修学旅行以来だ。だからなのかは分からないけど、陸の顔が明らかに強ばっているのが見て分かった。


 申し訳なさそうに頭を下げている。


「……………俺、美羽が好きだ。美羽じゃないとダメなんだ………」


 反省しているのは見て分かる。だけど、だから譲るってならねぇだろ。


「オマエは俺に謝ったら あわよくば美羽と戻れるとでも思ってんの? そこに美羽の意思はねぇの? 『謝れば大抵の事は自分の思い通りになる』とでも思ってんの? 現実はそんな甘くねぇんだよ」


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