暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
Story1

誰もが恐れる暴君陛下





「これはどうゆうことだ?説明しろ。余が貴様の首を切り落とす前にな」


大理石の床を美しく照らすのは大きなシャンデリア。白色の壁に、金色の刺繍で装飾された黒い椅子はクラシックな雰囲気を想像させ、質感のある赤色の絨毯は童話で出てくる、赤の女王のような威厳さえも感じさせる。


両肩に金色の飾りが装飾された黒マントを身につけた男は、正面で膝をついた男の首に鋭い剣をあて、低い声で問いかけた。

ピリピリとした空気に誰もが息をするのを忘れそうになる。


「あ……………………そ、その………………」


首に剣を突き付けられた男は今にも失神しそうなほど、青ざめている。


「確かに余も貴様を信用し過ぎたかもしれぬ。………………が、しかし動きの怪しいやつは見たら分かる。証拠はこの書類だ」


突き付けられたのは4枚重ねになった国の所有する武器で外部と密業を行ったとされる書類たち。


「覚悟はいいな?」

男の首に剣が食い込み、血が滲む。

「い、いやだぁぁぁぁぁぁあ!!!」

断末魔のような叫びが部屋中にこだまする。


そして、


______ザクッ。


鈍い音と同時に力のなくした体が地面へと倒れ込む。


何も感情のこもっていない目をしたその男は、近くに入る兵士に後片付けを命じると遺体を避けるようにして部屋を後にし、官僚たちのいる会議室へと足を急いだ。





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