【短編小説】高校生昇華物語
後日
後日談。


終わった日──私が勝った日。

特に、どうということもなく、何もなく終わった。

家に──自宅に帰った。

式錢くんの家ではなく自宅に。


帰った。



本当に、何もなかった。

何事もなかったように終わった。


しかし、記憶が曖昧になっていくのがわかった。

男の子の名前も、わからなくなった。

伝えなければ、いけないのに。



──ありがとう、勝ったよ


と。
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