アンニュイな彼
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「笹原先生! うちのクラスの猫カフェに来てくれるって約束したじゃないですかー!」


私は桜の木を背にして、低い石垣に腰掛けながら目を点にしている。
さっきから、猫耳を付けてメイドのコスプレをした女子高生たちが、笹原先生を追いかけ回している。


「笹原先生! お好きな飲み物サービスしますからー」
「猫カフェの次はぜひうちのクラスの和装喫茶にも来てください!」


これで何往復目だろ?

猫カフェの子に加え、浴衣姿の女子も増え、先生の周りにはちょっとした人垣が出来ている。

なんだなんだ、芸能人でもいるのか? と、外部からのお客さんはその盛り上がりを端から見て勘違いをして、余計に先生を囲む人口の密度が高くなっていく。

という現象を、私は真菜と梨沙ちゃんと三人で並んで座り、さっき大学部の出店で買ったタイのアイスティーを飲みながら遠目に見ていた。

今日は通っていた私立高校と系列大学部の合同文化祭。

週末という稼ぎどきに智兄が店を休めるはずもなく、かと言って常連さんの真菜が誘ってくれた手前、私まで断るのは忍びないよなということで、私だけ文化祭に遊びに来た。
あ、智兄の言葉を借りるなら、遊びに来た、のではなくて、海外のポピュラーなお手軽スイーツをリサーチしにやって来た、だ。
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