たまゆらなる僕らの想いを
第二章

【人見知りの第一歩】



一夜明けて──。

朝食も外出の支度も終え、そろそろ出かけようかとカバンを手にした時のこと。

窓の外から元気な声が聞こえてきて、私は窓をそっと開けた。

冬のキンと冷えた空気が入り込んできて、思わず身を震わせる。

すると、階下から「ヒロ兄、今度バイクの後ろに乗せてよ」と男の子の声がして。

少し身を乗り出して様子を伺えば、ヒロと小学生くらいの男の子が庭で会話をしているのが見えた。

どうやら縁側があるようで、男の子はそこに座り、足をブラブラさせながらヒロに話しかけている。

そしてヒロはというと。


「もう少しでかくなったらな」


少し優しい声色でやんわりとお断りした。

後ろに乗せてということは、ヒロは二輪バイクを持っているのかな。

そういえば、朋美の彼氏が年上で、最近二輪バイクの免許をとったけど、二人乗りするには免許取得から一年が経過してないとできないと嘆いていたのを思い出す。

ヒロの口ぶりからすると、もう後ろに乗せることができるのかな。

だとしたら、免許は高校に入学した頃に取ったのかもしれないと勝手に予想していると。

ふと、ヒロの視線がこちらを向いた。



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