ジンクス
優しさ
胸に鈍い痛みを感じながらも、昼休みが来ていた。


あたしと健はいつもと同じように中庭に移動して、お弁当箱を広げていた。


一見中身は一緒だけれど、健のお弁当箱にはあたしの肉が入っている。


あたしは健の反応を見ながらゴクリと唾を飲みこんだ。


妙な味がすると言って吐き出されたらどうしよう。


そんな不安も空しく、健はガツガツとお弁当と食べて行く。


「今日のお弁当はいつもより美味しいね」


そう言われて、ドキッとする。


「そ、そう? いつも通りに作ったんだけどね」


そう言いながらも、足の指がうずくのを感じた。


痛み止めが切れて来たのかもしれない。
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