毒舌社長は甘い秘密を隠す

side 優羽・後編


 ――ふと視線を感じて、顔を傾ける。
 だけど、社長は星空を見上げていて、気のせいだったようだ。


 今日は最高の休日。
 社長が本当にデートをしてくれるなんて思いもしなかったから、朝から幸せな気分でいっぱいだ。
 きっと彼は、これがデートだなんて考えていないだろうけど。

 本当は甘いものが苦手なのに、行列に並んでまで付き合ってくれたり、こうしてハワイの星空を見せてくれたり……。
 プレゼントしてくれた靴は、私が毎日を頑張るためのお守りになりそうだ。
 彼からのご褒美だと思うと、ちょっとくらい大変な業務も難なくこなせちゃうと思う。


 社長のさりげない優しさに触れるたび、胸の奥が疼く。
 同居を始めてからずっと抱きしめられて眠り、日を追うごとに彼への想いは強くなるばかりだ。伝える勇気さえ持てたら、すぐにでも告白するけれど、やっぱり現実を考えると躊躇する。

 でも、今日はこうして私と過ごしてくれただけで大満足だ。労ってくれるなんて、いい上司を持ったと思う。


「ありがとうございます。……響さん」

 誰にも聞こえないはずの呟き声だったのに、彼が私を見つめてきて息をのんだ。

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