愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~



――――……


目を覚ますと、白い天井が映った。
あれ? いつの間に家に帰ったんだっけ。
覚醒しきれていない頭の片隅で思い出そうとするが、はっきりしない。

まさかもう朝? やばい、遅刻?

焦りを感じてガバッと身体を起こすと、グラリと目が回った。
急な目眩に再び身体を横に倒す。


「え? なに……」


頭を押さえながら、ベッドの硬さに違和感を感じた。そして、微かに消毒薬と薬品の匂いに自宅ではないことに気が付く。


「あれ?」


はっきりと覚醒してからゆっくりと身体を起こすと、先程のような目眩はなかったが、だるさを感じた。
身体にかけられたタオルケットはもちろん私のではない。

なによりここは病院だろうか?

見渡すと診察室のようで、隣に机と椅子があり、その横にある診察台に私は横になっていたようだった。

なんで私、こんなところにいるの?


「目が覚めたか?」


記憶を辿っていると不意に声をかけられ、ハッとそちらに顔を向けると診察室に人が入ってきた。


「あなたは……」


チャームを返してくれたあの男性だ。
どうして、この人がここに?
男性は眉を潜める私の顔を覗き込んだ。


「ちょっと!」


驚いて顔を背けてしまう。
明るい下で見ると男性はますます綺麗な顔立ちをしていた。
少し上げた黒髪に凛々しい眉。綺麗な二重の涼し気な目元に、通った鼻筋。暗がりでもイケメンだと思ったが、明るい所だとその迫力に圧倒され、思わず赤面してしまったのだ。


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