エリート上司の甘く危険な独占欲
「ううん、たいしたことない。ただの事務連絡」
「あ、そうなんですね」

 麻衣は自分のパソコンに目を戻した。麻衣の視線が外れ、それにホッとしている自分に嫌気を起こしながら、華奈は付箋をゴミ箱に捨てた。



 その日の夜、華奈はポロポロ涙をこぼしながら、レトルトのチーズクリームリゾットをスプーンでつついていた。リゾットを口に入れると、涙と混ざってしょっぱい。

(最初にちゃんと訊かなかった私がいけないんだ。『彼女はいるんですか?』ってたった一言訊きさえすれば、麻衣ちゃんを裏切ることにはならなかったのに)

 悲しくて悔しくてやるせなくてどうしようもない。泣きながらリゾットを口に詰め込んだとき、スマホがメッセージの受信を知らせる電子音を鳴らした。華奈は怯えたように身を震わせた。華奈と颯真のことを知った麻衣が、裏切りを責めるメッセージを送ってきたのでは……。

 華奈はおそるおそるスマホを取り上げたが、メッセージの送信者は健太だった。

『仕事お疲れさま。俺は今から帰るところ。華奈は?』
(なんだ、健太だった)
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