「新入社員のみなさん、本日は誠におめでとうございます」


開会の言葉が告げられた後、壇上に現れた社長が祝いの言葉を述べる。すると周りにいる新入社員の女性たちが、一斉にざわつき始めた。

「噂では聞いてたけど、ここまでカッコいい人だとは思ってなかったわ」
「王子って呼ばれてるのも納得ね」
「あれで本当に独身なの?」

あちらこちらからから聞こえるひそひそ話に私、一条和花(いちじょうのどか)も壇上の上でスピーチ真っ最中の社長を目を凝らしてみる。でもコンタクトレンズを入れ忘れた瞳では、社長の顔がぼやけて見えない。スラッとした出で立ちなのはなんとなくわかるものの、イケメンなのかの判断はできなかった。

残念……

社長が目的でこの会社に決めたわけではないけれど、なかなかお目にかかることのできない社長を拝見できる絶好のチャンスだったのに。こんなことならちゃんと早起きして、コンタクトレンズ入れてくるんだった。でも今更どうすることもできないし、今日はそのお声だけで我慢するしかなさそうだ。

入社早々ついてないと溜息をつき、ガックリ肩を落とす。