「今日は午後から会長と顧問弁護士が来ることになったので、よろしくお願いします」

荒川さんはそう言うと、慌ただしくデスクの上を片付け始めた。

「千晴さん、荒川さんどうしたんですか?」」

いつもとは明らかに違う動きをする荒川さんを不審に思い、千晴さんにコソッと尋ねる。

「ああ、あれね。和花ちゃんはまだ会ったことがないと思うけど、顧問弁護士の天花寺(てんげいじ)さんがちょっと癖のある人でね。和花ちゃんも、目をつけられないように気をつけて」

いつもデスクの上は綺麗にしている千晴さんまで、整理整頓を始めた。

「顧問弁護士の天花寺さん……」

顧問弁護士なんて生まれてこの方、会ったこともなければ見たこともないけれど、私にとってはその人よりも“会長“の方が恐ろしい存在。

だって我が社の会長、結城耕三郎と言えば、総一朗さんのお父様。まだ私たちのことは知らないと思うけれど、こっちは緊張感ハンパない。

私が会長と絡むことはないと思うけれど、何か粗相があってはいけないと席を立つ。

「ちょっと社長室に行ってきます」

ノックをして中に入ると、総一朗さんと洋匡さんが応接セットで何やら話し中。