「気持ちいい……」

お湯は少し熱めだが、夜の爽やかな風が素肌にちょうどいい。

その気持ち良さにうっとりして風呂の縁に身体を預ける。近寄ってきた総一朗さんが私の身体を後ろから抱きしめると、肩口に顔を寄せた。

「総一朗さん、くすぐったい」

「これくらい我慢しろ。俺はお前以上に我慢してるんだ、それこそ拷問だぞ」

「拷問って、大袈裟じゃないですか?」

クスクス笑うと、背後からの戒めがキツくなった。

「総一朗さん。こんなにゆっくりできるのは、この先しばらくないかもしれないですからね。うんと堪能しておきましょう」

クルッと向きを変え総一朗さんの目を正面から見据えると、そんな私を見た彼はフッと笑った。

「そうだな、和花の言う通りだ。親父たちのことも解決しないといけないが、会社ももっとデカくしていきたいと俺は思ってる。それにはお前が必要だ。ずっとそばに居て支えてくれるか?」

「もちろんです。もう絶対に逃げません。どこまでもついていきます、総一朗さんに」

自然に触れ合った唇は、お互いの気持ちを伝え合う口づけ。

総一朗さんの柔らかくて温かい唇は、まるでこの温泉のように何もかもを包み込んでくれる。

「おお、一生ついてこい」

そう言う彼の笑い声が、露天風呂の中に響き渡った。