「何が自由の身だ。紗子さんと洋匡のことは許したが、お前たちのことは別だ。総一朗には身分、経歴、容姿、どれをとっても完璧な女性を私が探す。そんな社会人一年目の小娘では、総一朗の嫁は務まらん」

「親父、いいかげんにしろよ! 俺は親父が誰を連れてきても、和花以外の女とは一緒になるつもりはない!」

総一朗さんが何を言っても、会長は聞く耳を持たない。

身分、経歴、容姿──

私には何ひとつないもの。そこをピンポイントで指摘されてしまったら、何も言い返すことができない。

それでも、何を言われても、今日の私はここで「はい、そうですか」と引き下がるわけにはいかなかった。

総一朗さんと約束をした。もう絶対に逃げない、どこまでもついていくと。

一生ついてこいと言ってくれた総一朗さんのそばを私から離れるなんて、もう二度としたくはない。

目をつむり両手にグッと拳を握ると、大きく息を吸う。それをゆっくり吐くと、目を開き会長を見据えた。